世界のナカムラが、アジア杯3連覇に向け、自我をむき出しにした。この日最後に行われた9対9の試合形式の練習中、中村俊はサイドから上げたセンタリングが、中央にいたFW巻に合わないと、すぐさま修正に動いた。「入ってくるのが遅い。もっと早く入ってほしい」。厳しい言葉をぶつけた。
「1本のパスと、受け手の動きだしだけでゴールが決まることだってある」。アジア杯を目前に控え、何度も修羅場の戦いを経験してきた男が、鬼モードに入った。代表スタッフからは「自分のスピード、意識で(FW陣に)要求していけ」と言われているだけに、パスの受け手のレベルに合わせるつもりはない。巻だけでなく、FW矢野に対しても自分のプレーの質を伝え「そういう面はタカ(高原)が一番」と、ドイツで活躍する日本のエースストライカー並みの動きを要求した。
00、04年とアジア杯優勝を経験したが「今回が一番難しい。オレはこのチームで長いわけじゃないし、やりがいはあるけど、難易度は高い」と危機感を感じている。これまではオシムジャパンの戦い方に合わせようとしてきた中村俊が、本番を前にリーダーシップを前面に押し出し始めた。「意思の疎通をどんどん追求していかないといけない」と、三度、歓喜を味わうためには、厳しさも辞さない覚悟だ。