昨年6月12日の「カイザースラウテルンの悪夢」の再現を狙うオーストラリアが危険人物に指定したのは「背番号10」だった。
「中村は才能豊かな選手。彼のFKが非常に危険。エリア付近でも危険な存在で、優れたプレーメーカー。みんな彼について話し合っている。彼が最大の脅威だ」
運命の決戦を2日後に控えた19日の記者会見。身長193センチの守護神シュウォーツァーが、張りつめた表情で語った。
昨年のW杯では前半26分、俊輔が左足で放ったクロスがゴールに吸い込まれた。「あれはジャッジのミス。ハーフタイムに主審が僕にそう伝えた」と激怒。走り込んだ柳沢と高原に接触、バランスを崩す間、先制点を許した。あの屈辱は今でも忘れない。俊輔封じに全神経を注いでいた。
MFブレシアーノも俊輔包囲網を明言した。「セリエAでの経験から、中村にはマンツーマン守備が必要。密着マークで中村をゲームから追い出すよう努力する」レッジーナ在籍時の司令塔を知るセリエA屈指のウインガーも、神経をとがらせる。前回は身長183センチの中盤の殺し屋、トリノMFグレラが密着マークして危険なファウルを連発。178センチの俊輔に右太もも打撲と左足親指爪破損など大会中完治不能な致命傷を負わせた。
さらに敵将も俊輔対策会議を極秘裏に開始。グラハム・アーノルド監督(43)ら首脳陣5人は18日夜、ハノイ市内の高級ナイトクラブに集結。深夜1時半まで瓶ビールを手に戦術を練った。
ドイツに続き、ハノイでも危険な包囲網が待つ俊輔は「夜にクラブ? 相当余裕あるね」と不敵に笑った。午後の練習では、オシム監督から様々な崩しのパターンを直接指導された。「中央から外を狙うとか、いろいろなアイデアを言われた。参考になる」老将から伝授された秘策で危険なわなをくぐり抜け、1年前の借りを返す。